
どれだけ断熱を厚くしても、すき間があれば熱は空気と一緒に逃げていきます。気密は、断熱と換気の性能を成立させる土台です。
快適で省エネ、そして長寿命なエコハウスを実現するためには、「高気密」「高断熱」「日射コントロール」「熱交換換気」「熱橋対策」という5つの要素が欠かせません。連載第1回目となる今回は、エコハウスの土台とも言える「高気密」について解説します。特に、高断熱・高気密住宅を語るうえで絶対に外せないキーワード「気流止め(きりゅうどめ)」の重要性から紐解いていきましょう。
「壁の中にたっぷりと断熱材を入れたのに、なぜか家が寒い…」。昔の住宅でよく聞かれたこの悩みの原因は、家の構造そのものにありました。
従来の在来木造住宅では、壁(外壁や間仕切り壁)の上部と下部が塞がれておらず、床下や小屋裏(屋根裏)とつながって開放された状態になっていました。この状態で冬に暖房をつけると、何が起こるでしょうか?
このように壁の中で空気が動き続ける現象を「壁内気流」と呼びます。いくら性能の良い断熱材(グラスウールなど)を入れても、その中を冷たい空気が通り抜けてしまっては、断熱性能は著しく低下してしまいます。まるで、冬にダウンジャケットを着ているのに、前のジッパーを開けっぱなしにして冷たい風をまともに受けているような状態です。
さらに恐ろしいことに、室内の湿った空気が壁の中に引き込まれ、冷やされることで「壁内結露」が発生します。これが木材を腐らせ、家の寿命を縮める大きな原因となっていました。
この問題を解決するのが「気流止め」です。壁の上端と下端の隙間を、乾燥木材や専用の部材、気密シートなどを使ってしっかりと塞ぎ、壁の中の空間を独立させます。
壁内気流を止めることで、断熱材が本来持っている性能を100%発揮させることができ、同時に壁内結露も防ぐことができるのです。
気流止めによって壁の上下を塞いだら、次は家全体をすっぽりと包み込む「気密化(高気密)」が必要です。気密層(防湿シートや構造用合板など)を切れ目なく連続させることで、家の隙間をなくしていきます。エコハウスにおいて高気密化が必要な理由は、大きく3つあります。
気密性が低い(隙間が多い)家では、せっかく暖冷房した空気が隙間からどんどん逃げ、代わりに外の空気が入ってきてしまいます。これでは暖房機がフル稼働することになり、エネルギーの無駄遣い(光熱費の増加)につながります。気密性を高めることは、省エネと直結しているのです。
現在の住宅は24時間換気が義務付けられています。しかし家が隙間だらけだと、換気扇を回しても隙間から空気がショートサーキットしてしまい、家全体の空気を計画的に入れ替えることができません。ストローに穴が空いていると飲み物がうまく吸えないのと同じです。「計画換気」を機能させるためには、大前提として高い気密性が不可欠です。
室内で発生した水蒸気(湿気)が壁の中に侵入すると、冬場に冷やされて結露(内部結露)を起こします。防湿・気密シートを壁の室内側に隙間なく施工することで、水蒸気の侵入をシャットアウトし、家の構造体を腐朽から守ります。
「気流止め」と「気密化」をしっかりと行うことで、初めて「高断熱」が本来の力を発揮します。いくら分厚い断熱材を使っても、気密性が低ければ「数値の割には寒い家」になってしまう危険性があります。
高気密は、快適で省エネな暮らしを実現するための、エコハウスの最も重要なベース(土台)なのです。
完成時だけでなく施工中にも測定し、C値で性能を確かめてから引き渡します。
防湿・気密シートの重ねや貫通部の処理を、図面の段階から納まりとして設計します。
壁内への湿気の侵入を抑え、内部結露から構造材を守ります。