
断熱材が途切れる場所——構造材や金物、基礎の立ち上がり。そこは熱が橋を渡るように伝わる「熱橋(ヒートブリッジ)」になります。
全5回にわたってお届けしてきた「エコハウスの5要素」も、今回がいよいよ最終回です。「高気密」「高断熱」「日射コントロール」「熱交換換気」と、家を暖かく快適に保つための工夫を解説してきましたが、最後に忘れてはならない最大の総仕上げが「熱橋(ねっきょう)対策」です。熱橋(ヒートブリッジ)とは、その名の通り「熱の橋(通り道)」のこと。断熱材が途切れていたり、熱を伝えやすい素材が貫通していたりすることで、そこから家の中の熱が外へと逃げてしまう弱点を指します。
住宅の構造には、主に木造、RC造(鉄筋コンクリート)、S造(鉄骨)の3つがあります。熱橋の観点から見ると、木造住宅は圧倒的に有利です。なぜなら「木」は鉄に比べて数百倍、コンクリートに比べても十数倍も「熱を伝えにくい」素材だからです。鉄骨造やコンクリート造の家は、構造材そのものが巨大な熱の通り道になってしまうため、高い断熱性能を確保するには非常に高度な技術と多大なコストがかかります。その点、熱を伝えにくい木を骨組みにする木造住宅は、本質的にエコハウスに向いていると言えます。
しかし、安心はできません。いくら木が鉄やコンクリートより熱を伝えにくいとはいえ、「グラスウールなどの断熱材」に比べると、木材は約3〜4倍も熱を通しやすいのです。一般的な木造住宅では、柱と柱の間に断熱材を詰めます(充填断熱)。壁の面積のうち約15〜20%は柱などの「木材」が占めているため、この木材部分がヒートブリッジとなり、熱がじわじわと外へ逃げてしまいます。
この「木のヒートブリッジ」を克服するために当社が推奨しているのが、第2回でもご紹介した「付加断熱(ダブル断熱)」です。柱と柱の間にたっぷりとグラスウールを詰めた上で、さらに家の外側(柱の外側)からもう一層、分厚いグラスウールで家全体をすっぽりと包み込みます。
この「複層の断熱」によって、柱からの熱の逃げ道を完全に塞ぐことができ、壁全体の断熱性能を飛躍的に高めることができるのです。
壁の熱橋対策を行ったら、次に見直すべきは「足元(基礎)」の熱橋です。最近の高断熱住宅では、床のすぐ下ではなく、建物の土台を支えるコンクリート基礎そのものを断熱する「基礎断熱」を採用し、床下空間を室内と同じように暖かく保つ工法が増えています。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。基礎断熱を採用する場合、基礎の立ち上がり部分(外周部)の内側だけに断熱材を貼るだけでは、まったく不十分なのです。コンクリートは非常に熱を伝えやすいため、断熱材が貼られていない「基礎の底」や「土間(地面)」をつたって、室内の熱が地中へとどんどん逃げてしまいます。
基礎からの熱損失(熱の逃げ)は非常に大きく、外周のみの断熱では、通常の床断熱の家に比べてはるかに大きな熱が失われ、せっかくの暖房費がかさむ原因になります。さらに、床下地盤の温度が冬の間に冷やされたままだと、夏場に温かく湿った空気が触れた際に「床下結露」を引き起こす危険性も高まります。
基礎外断熱の採用:基礎のコンクリートを「外側」から断熱材ですっぽりと包み込み、室外の冷気から基礎そのものを守ります。
土間下断熱(全面断熱):基礎の立ち上がりだけでなく、地面に接する土間コンクリートの「下(または上)全面」に断熱材を敷き詰めます。
地盤への熱の逃げ道(熱橋)を完全に断ち切ることで、初めて熱損失を最小限に抑えることができ、床下暖房なども効率よく機能する、本物の「足元から暖かい家」が実現します。
全5回にわたり、エコハウスの5要素を解説してきました。
家の隙間と壁内気流をなくし、断熱材の性能を100%引き出す。
高価な素材より、グラスウールを分厚く施工して家を保温する。
冬は太陽の熱を取り込み、夏は窓の外でしっかり日差しを遮る。
暖かさを逃がさずに、新鮮な空気を常に入れ替える。
木材や基礎コンクリートからの「熱の逃げ道」を、複層断熱や土間全面断熱で完全に塞ぐ。
どれか一つでも欠けてしまえば、本当に快適で省エネ、そして長持ちする家にはなりません。
当社は、これら5つの要素すべてに妥協せず、理論と確かな施工技術に基づいた「本物のエコハウス」をご提案し続けています。
基礎から屋根まで、断熱が途切れない「線」でつながるよう納まりを設計します。
バルコニー・土台・窓まわりなど、熱橋になりやすい箇所を一つずつ潰します。
局所的な低温部をなくし、表面結露・内部結露のリスクを抑えます。